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皮膚への浸潤を認めるとの記載がある場合

[管理番号:1152]
性別:女性
年齢:35歳
いつも拝見させていただき参考にさせていただいています。
現在術後抗がん剤治療中です。すでに3回終わった所なのですが
ここにきて再発するのではと不安になっており
質問させていただきました。
病理結果
腫瘍径2.2センチ リンパ節転移なし
リンパ管侵襲なし 血管侵襲なし ki67.90%
グレード3
トリプルネガティブです
手術で全摘しました。
病理結果を紙でもらっておらず先生が画面開いている時に上記情報を得ました。
抗がん剤したら再発率下がるから抗がん剤しようねとしか言われず
今まで頑張ってするしかないと抗がん剤していたのですが先日たまたま
先生が病理結果の画面を開いているときに画面のしたの方に皮膚に浸潤ありとの文言
が書いてあるのが目に入りました。
頭の中が真っ白になってしまって先生に質問出来なかったのですが、これは皮膚転移
してるとのことでしょうか??
保険会社に提出する書類にはT2N0M0となっていたので皮膚浸潤とは思ってなかったん
です。皮膚浸潤していない場合とでは予後変わってきますか?
癌の部分が乳首の真横で温存は難しいとの事だったので全摘したのですが、皮膚に浸
潤している部分は取り除けてるのでしょうか??
こちらのサイトでトリプルネガティブでもグレードが3でもあくまでもステージが大
切との先生の言葉をみて前向きに頑張っていたのですが予後が変わるんじゃないかと
とても不安になってしまいました。
もう1つ最近逆の胸が痛い気がするのですが、抗がん剤中に逆の胸に癌ができたり、
別の場所に再発したりすることはあるのでしょうか??
お忙しいところ恐れ入りますがご回答よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問者は大変な勘違いをしています。
この回答を見て安心していただければ幸いに思います。
癌の「波及度」という表現があります。
まずこれを解説しましょう。
「乳腺の解剖」
表面から「皮膚skin(s)」その下に「(皮下)脂肪織fat(f)」その下に「乳腺組織
gland(g)」、その奥(下)に「大胸筋層pectralis major muscle(p)」があります。
「癌の進展」
乳癌は「乳管に発生」します。
 ↓
そして「乳管周囲の間質に浸潤」この段階では波及度(g)
 ↓
更に「(皮下)脂肪織に到達」この段階では波及度(f)
 ↓
そして「真皮浸潤」ここで波及度(s)となります。
 ♯同様に乳腺から(裏側の)大胸筋層浸潤(p)もありますが、これは経験上、かな
り腫瘍が大きくならないと起こりません
 ○特に「真皮浸潤」は特別なことではありません。
  皮下脂肪(f)が薄い方だと、比較的頻繁におこります。
これと「皮膚の潰瘍形成、発赤、浮腫、皮膚の衛星結節=T4」とは全く異なります。
T4は「局所進行乳癌」の部類となります。
更に「皮膚転移」はもっと違います。
 これは「術後に胸壁におこるもので」局所再発とも異なります。
 遠隔転移再発=ステージ4となります。

回答

「これは皮膚転移してるとのことでしょうか??」
⇒全く違います。
 
 冒頭で解説した通り、「波及度(s)」と皮膚転移(ステージ4)は雲泥の差があり
ます。
 
「皮膚浸潤していない場合とでは予後変わってきますか?」
⇒波及度(s)は予後に全く影響ありません。
 ご安心を。
 
「全摘したのですが、皮膚に浸潤している部分は取り除けてるのでしょうか??」
⇒勿論です。
 全摘の場合は「腫瘍直上の皮膚も十分に取れる」のです。
 温存の場合でも「皮膚に近い、もしくはくっついている=波及度(f)が疑われる」
場合には「直上の皮膚も十分に切除するのが原則」です。
 
「抗がん剤中に逆の胸に癌ができたり」
⇒これも勘違いが多いことの一つです。
 乳腺同士は全く別物であり、「対側乳腺に転移や再発」することはありません。
 もしも「出る場合」は「全くの新規乳癌」です。
 
「別の場所に再発したりすることはあるのでしょうか??」
⇒通常は「抗がん剤中に転移再発」はありません。
 質問者は十分に早期なので勿論心配ありません。
 
★pT2(22mm), pN0は十分な早期乳癌です。
 トリプルネガティブやグレード3などに惑わされないようにしましょう(担当医自身が、そのような事を言う場合があるので困ったものです)
 抗がん剤による「上乗せ効果」は18%もあるので「きっちり治療すること」に専念しましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

以前はすぐ回答いただき安心できました。寝れない日々を過ごすと覚悟していたのに回答いただいてグッスリ眠れました。ありがとうございました。
また2つほど教えていただきたいのですが、①10月29日にワンタキソテール2回目を終え11月5日にノイトロジンの注
射をしたのですが3日ほど前から発熱・咳があり病院でインフルエンザや血液検査をしたところ特に心配することはないので風邪薬出しとくと
言われ帰ってきたのですが、帰ってきて血液検査の結果を見たところCRP14.9ととても高く風邪で高くなることはあってもこんなに高いのは再発ではないかと心配しています。
また白血球4000好中球1960と普通に戻ってたのですがMONOという項目はまだ33.8と高いです。
MONOなど今までは気にしたことが無かったのですが急に不安になってきました。
②ECの4回目終わったくらいから髪の毛が全体的に生えてきました。ワンタキソテール2回目を迎えるくらいで触ったらまた抜けるようになっ
たのですが、生えてくることもあるのでしょうか?眉毛やまつ毛は抜けたまま生えてきません。抗がん剤がきいてないんではないかと心配です。
乳がんになってからちょっとしたことで再発したんではないかと不安で不安で。
お時間あるときで結構ですのでまた教えてください。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「帰ってきて血液検査の結果を見たところCRP14.9ととても高く風邪で高くなることはあってもこんなに高いのは再発ではないかと心配しています」
⇒再発では「CRPは上がりません」
 「強い炎症」が原因です。
 
「MONOという項目はまだ33.8と高いです。MONOなど今までは気にしたことが無かったのですが急に不安になってきました」
⇒monocyte(単球)は「白血球(好中球)」が増加する際に「最初に増加」してきます。
 グランを3日前にしているのだから「骨髄が反応」して「上がってきている」のです。
 
「ワンタキソテール2回目を迎えるくらいで触ったらまた抜けるようになっ」たので
すが、生えてくることもあるのでしょうか?」
⇒あります。
 そもそも「副作用」と「治療効果」を比較する事自体「全く無意味」です。
 たとえば「つわりが軽かった」人は「抗がん剤の吐き気にも強い」という事実をご存知ですか?
 ○まさか「つわりが軽い人は抗がん剤が効かない」とは思いませんよね?
 
 

 

質問者様から 【質問3】

いつもありがとうございます。
先日最後の抗がん剤が終わりました。
やっと半年間終わったという感じです。
トリプルネガティブの為ホルモン治療もありませんので、これで治療は一旦終わりと言われています。
年明けから治療もなくなり不安いっぱいなのですが、今後の検診の頻度
と検査内容について教えてください。
主治医からは今週白血球の数値を見る際に、今後の検診の相談をしようと言われていますが自分でも考えてきてと言われ、私のような場合であれば先生なら何ヶ月に1回検査しますか?
主治医は3ヶ月に1回かなと言っていたのですが、私はkii67が90%と高いことや年齢が若い事などから2ヶ月に1回とかの方が安心なのかなと思ってます。
逆側に乳がんが出来るじゃないかと不安です。
先生であれば今後どのような検査をしますか?
お忙しいと思いますがよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「先生であれば今後どのような検査をしますか?」
⇒3カ月に1回の視触診、超音波、採血(腫瘍マーカー含む)
 1年に1回のマンモグラフィー
 これで十分です。
 ○十分な早期乳癌ですから、余計な心配は不要です。(2カ月に1回は多すぎと思います)
 
 

 

質問者様から 【質問4】

今日は再発について教えていただきたいです。
年末に抗がん剤治療も終わり現在は無治療となっています。
少し身体が痛かったら再発かもと怯える毎日なんですが、
そんな毎日が嫌になり自分なりに何が怖いのかやどんな風に毎日を過ごせば幸せなのかを考えるようになり、
再発することに怯えてるけれども再発した後の事を知らないことに気づきました。
正しい知識を身につけることで少しは恐怖心が無くなるのではと思い質問させてください。
私はトリプルネガティブなんですが再発した場合は、抗がん剤治療にな
るのでしょうか?抗がん剤をすることでどれくらい生きられるのでしょ
うか?
主治医は今は乳がんではそう簡単に死なない。
って言うのですが再発しても長く生きる事は可能なのでしょうか。
再発した箇所によっても余命は変わってくるのですか?
この先どうやって生きたいかを考えた時に子供がまだ保育園なので高校
に入るまでは仕事は出来なくなってても入院せずに生きていたいと考え
ました。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「私はトリプルネガティブなんですが再発した場合は、抗がん剤治療になるのでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「抗がん剤をすることでどれくらい生きられるのでしょうか?」
⇒再発臓器や、「その程度」などによって異なります。
 
「再発しても長く生きる事は可能なのでしょうか。」
⇒これも(再発)部位によって異なります。
 
「再発した箇所によっても余命は変わってくるのですか?」
⇒骨などは長期予後が期待できますし、肝などの重要臓器の場合には(長期生存が)厳しくなるのです。