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浸潤と非浸潤

[管理番号:1743]
性別:女性
年齢:50歳
 はじめまして
 最近テレビ等で乳がんになったタレントさんの事があり乳がんに対して考えるようになり
このQ&Aで沢山の方の質問に答えてるのを見つけました
 そこで質問ですが浸潤性乳がんと非浸潤性乳がんではどういう違いがあるのでしょうか
 予後や治療方法など何か大きな違いがあるのでしょうか
 早期発見では非浸潤が多いのでしょうか
 温存と全摘出などの違いは関係するのでしょうか
 それとも非浸潤が大きくなると浸潤ということなのでしょうか
 色々な情報があるのでよくわかりません
 宜しくお願いします
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「浸潤性乳がんと非浸潤性乳がんではどういう違いがあるのでしょうか」
⇒「非浸潤癌」は「乳管内に癌が留まっている状態」です。
 そこから「癌細胞が浸潤能を獲得する」と「乳管から外へ浸潤」し始めます。
 つまり「非浸潤癌」は「浸潤癌」の前身なのです。
 
「予後や治療方法など何か大きな違いがあるのでしょうか」
⇒全く違います。
 予後:非浸潤癌は(基本的に)「命を奪いません」
 治療方法:局所療法(手術、放射線)は基本的に同一ですが、全身療法は全く異なります。
      非浸潤癌では「決して抗がん剤は行いません」(対側の予防も含めてホルモン療法をすることはあります)
      浸潤癌では性質(サブタイプといいます)によっては「抗がん剤を用いる可能性」があります。
 
「早期発見では非浸潤が多いのでしょうか」
⇒「早期発見」とは「できるだけ早く見つけよう」という「表現」です。
 「早期乳癌」とは0期と1期の乳癌を言います。
 一般的に「早期発見」と言っても1期が多く「非浸潤癌で見つかる頻度」は高くはありません。
 ○非浸潤癌で見つかる一番多いケースが「石灰化」です。
 
「温存と全摘出などの違いは関係するのでしょうか」
⇒ありません。
 「温存と全摘の選択」は「単純に病変の拡がり」からの判断です。
 病変が「非浸潤癌であろうと、浸潤癌であろうと」拡がりが広ければ「全摘が必要」だし、拡がりが狭ければ「温存可能」なのです。
 
「非浸潤が大きくなると浸潤ということなのでしょうか」
⇒違います。
 「非浸潤癌のまま広く拡がる」ことも良くあることです。
○癌は「乳管から発生」し、「すぐに浸潤する」ケースもあれば、「乳管内をかなり広範囲に拡がるまで浸潤しない」ケースもあるのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

 浸潤と非浸潤について丁寧な回答ありがとうございました
 小さいうちに発見して手術後適切な治療をすることが重要だと思いました
 定期的な検査はマンモと超音波を1年に1度して、自分でも気を付けておけばいいのでしょうか
 タレントさんが検査していたのに5年生存50%と聞くと乳がんって怖いと思います
 先生の回答で非浸潤だった質問者に対して「おめでとうございます」と回答されてい
たのは0期で予後も良く本当に早期の乳がんで良かったという意味なのですね
 非浸潤では基本的に命は奪わないとの回答に命を奪うこともあるのはどんな時なのでしょうか
 大きくなっても非浸潤の時もあるのなら小さくても浸潤の時もあるのですか
 田澤先生のQ&Aを見てこれからも勉強させて貰い自分の命は自分で守らなければと思います
 沢山の回答に忙しいと思いますが解答宜しくお願いします
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「定期的な検査はマンモと超音波を1年に1度して、自分でも気を付けておけばいいのでしょうか」
⇒それで十分です。
 
「タレントさんが検査していたのに5年生存50%と聞くと乳がんって怖いと思います」
⇒これについては「いろいろ問題」ありそうに思います。「その検査とやらの精度」とか…
 Weekly columnものぞいてみてください。
 
「0期で予後も良く本当に早期の乳がんで良かったという意味なのですね」
⇒その通りです。
 
「非浸潤では基本的に命は奪わないとの回答に命を奪うこともあるのはどんな時なのでしょうか」
⇒(殆どありませんが)浸潤癌として再発した場合です。
 
「大きくなっても非浸潤の時もあるのなら小さくても浸潤の時もあるのですか」
⇒前回の回答『癌は「乳管から発生」し、「すぐに浸潤する」ケースもあれば、「乳管内をかなり広範囲に拡がるまで浸潤しない」ケースもあるのです。』に記載したように、
 「直ぐに浸潤」すれば「数ミリの浸潤癌」となります。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

丁寧な回答ありがとうございました
毎日の診察、検査、治療、回答とお忙しいので、他の方も書いていらっしゃいますが、本当にお身体ご自愛ください
先生を頼っている患者が沢山いるのですから
質問の追加ですが、非浸潤と結果が出ておめでとうと言われて安心しても、浸潤で再発したらもう治療方法はなく命を奪われてしまうのでしょうか
根治はないのでしょうか
そうなったら何もせず最期を待つしかないということでしょうか
殆どないという言葉を信じたいのですが、乳がんになったら一生不安でたまらなくなるのでしょうか
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「浸潤で再発したらもう治療方法はなく命を奪われてしまうのでしょうか」
⇒違います。
 浸潤癌としての治療 「手術」を含めた局所療法+「ホルモン療法や抗がん剤」などの全身療法を行います。
 
「根治はないのでしょうか」
⇒完全な勘違いです。
 根治の方が多いわけです。
 「10年無再発率95%以上」ということは、「95%以上で根治している」という事実です。
 ただ、「自分がその95%に入っている(根治)なのかが、10年以上経ってみないと解らない」というだけです。
 
「乳がんになったら一生不安でたまらなくなるのでしょうか」
⇒「一生」ではありません。
 10年経ち、15年経ち、不安は徐々に薄らぎ、そして20年経ったら、もう「不安ではない」と思います。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

丁寧な回答ありがとうございました
非浸潤は根治の方が多いということでしょうか?
非浸潤での再発もきちんと治療すれば根治はあるのですか
浸潤で再発した場合は抗がん剤は必ずしなければいけないのでしょうか
乳がんは決して絶望的にならなくても治らない病気では無くなってきてるということでしょうか
テレビなどを見てると絶望的になってしまうのは、田澤先生が仰るように一部であると言う事ですね
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
何のための質問なのか、質問者の意図が解り兼ねる気がします。
テレビなどの報道は(私自身は見ていませんが)過剰に「不安を煽るだけで、百害あって一利なし」と言えます。
そのおかげで、「関心が集まり、病院受診が増え、その分、早期発見にシフトしている」現状は「好ましい効果」であることは間違いありませんが…
「非浸潤は根治の方が多いということでしょうか?」
⇒殆どが根治です。
 数字で言えば95%以上の筈です。
 
「非浸潤での再発もきちんと治療すれば根治はあるのですか」
⇒局所再発であれば、根治の可能性はあります。
 遠隔再発(この場合には浸潤癌としての再発以外はありえませんが)であれば「根治の可能性はどうしても低く」なります。
 
「浸潤で再発した場合は抗がん剤は必ずしなければいけないのでしょうか」
⇒ケースバイケースです。
 ホルモン療法感受性があれば、(抗癌剤はせずに)「ホルモン療法単剤」とすることはよくあります(肝転移など、命を脅かすものでなければ)
 
「テレビなどを見てると絶望的になってしまうのは、田澤先生が仰るように一部であると言う事ですね」
⇒その通りです。
 ただ、質問者が「テレビやネットでの悲惨な情報」の方を信じるのであれば、このQandAは無意味です。